奈川の風景

新緑、紅葉、雪景色・・・移ろいゆく季節のなかで、奈川の自然や人々の暮らしはどんな表情を見せるのでしょうか・・・

奈川の片隅から

信州の山里・奈川の風景

日々の暮らしの中で

 奈川の中で私が美しいと感じるのは、家の横に丁寧に積まれた薪、土地を遊ばすことなく丹精込めて作られている畑、ハザに干してある刈り取った後の大事な稲、家の軒先に天日干ししてある花豆…といった生活の中の1コマが現れる風景です。

独自の風景

 どれも「美しさ」を意識している訳ではありません。「使いやすいように」とか「見苦しくないように」とか「大切に」とか「もったいない」といった、暮らしの中で生まれてくる奈川の人々の感覚が、見る者にとっては「美しさ」をも感じさせる独自の風景を作り出しているように思います。

生活を支える奈川人の感覚

 そういった感覚は、人々が周りに広がる自然を利用しながら大切に守ってきた「自然とともにある生活」がはぐくんできました。人々の暮らしとそれを支える自然が、山村らしい、自然と調和した美しい風景を作り出してきたのです。


そばの花

奈川・そばの花

そば処奈川

 そばは、種を撒いてから75日で収穫できると言います。7月に撒いた種も、花が終わり三角錐の小さな実を付けだしているのもあります。10月には新そばが食べられるでしょう。奈川地区は知る人ぞ知るそば処です。ここで採れるそばの味は最高級ですが、絶対量が少ないため市場に出回ることはありません。

奈川独自のとうじそば

 この地区には、「とうじ(投汁の意味)そば」(小さな籠で、小割りしたそばを汁でさっと湯がいて食べる、村独特の食べ方)なんてのもあってこれが美味しい!「そば博」などの折に松本市街地でもこの「とうじそば」を食べることができるのできて、それはそれで美味しいのですが、奈川で食べるそばの味を知る者からすればやっぱり味が違います。

何が違う?

 それは多分水が決定的に違うから。奈川のおいしい水で打ってゆでて、奈川の冷たい水でゆでたそばをしめることをしないと、このおいしさにはならないのだと思います。本当においしいそばを味わいたければ奈川に来て食べるしかありません。ぜひ一度奈川のそばを食べに来てくださいね。


寄合渡地区の「獅子舞奉納」

獅子とり 獅子とり 2

9月1日

 奈川地区・寄合渡のお祭り「天宮大明神祭」は、毎年9月1,2日に行われます。村内には他にもお祭りがいくつかありますが、このお祭りが夜店なども出て村で一番盛り上がります。このお祭りのメインは、なんと言っても1日の夜に奉納される「獅子舞」でしょう。

獅子舞のストーリー

  「獅子舞」のストーリーは…昔実りの秋を迎え、豊作を目の前に村人たちが喜んでいたある日、突然一頭の大獅子が畑に忍び寄り次々と作物を荒らしました。この被害に困り果てた村人は、木槍一本を頼りに生死を賭けてこの大獅子と戦いました。その激しい戦いの末、ようやく大獅子を追い払って「ああ、よかった」めでたしめでたし、という訳です。

盆か祭りか

 奈川を出て他所で暮らしている多くの人も、お祭りには帰って来て、「奈川にこんなにも人がいたのか」というほど、特に若い人たちが現れるのにはいつもびっくりします。各家庭では、それぞれに親戚や友人を招いて夜おそくまで飲んだり食べたりとにぎやかに過ごします。


天狗の滝

奈川・天狗の滝

天狗の滝の滝つぼ

 奈川地区・大平(おおびら)にある天狗の滝は、県道26号沿いからもはっきりと見えます。いつだったか、仲間3人で天狗の滝の滝つぼを見に行きました。多分、地区の人もそうは行かない場所でしょう。道なき道をよろけながら進み、やっとのことで天狗の滝上流の流れを見つけました。その流れに沿って下って滝にたどり着いたのですがそこはガレガレの恐ろしい場所。でも、いつもは遠くから眺めている滝のそばに来ているんだと思うと興奮しました。

天狗様のばち

 仲間の一人が、天狗の滝上流でわさびを発見。しかし、時期が外れていたので、そのままにしてきたといいます。後日その話を、知人に話したら「採ってこなくてよかった。あの場所は天狗様のものだから、わさびを盗んできたらバチがあたる。」と言われたそうです。